本/観察力を磨く 名画読解

『観察力を磨く 名画読解』エイミー・E・ハーマン2016

一言メモ:イエール大学のアーウィン・ブレイバーマン教授が観察力トレーニングの授業を試作している段階で、美術館の教育担当として学生に絵画鑑賞の講義を行ったことがきっかけで、ハーマンはニューロサイエンスおたくになったと述懐しています。論文を読み、科学者を訪ねて開発した「知覚の技法(the Art of Perception)」を書籍で体験できるようにまとめられたのがこの本です。

これまで美術にあまり関心がなかった人の方が効果的だとしています。

◆観察の方法について

 1.集中して見る

 2.注意を傾けて見る

 3.自力で見る

 4.客観的に見る

 5.部分と全体を見る

◆分析の方法について

 6.視点を変えて分析

 7.優先順位に配慮して分析

どの項目も例示が豊富で、どこに意識を置くか、トレーニングのポイントが説明されています。

ハーマンのセミナーは警察官、企業勤め、家事従事者、学生などさまざまなタイプの人が参加しており、すべての人の観察力アップに貢献できていると述べています。

ハーマン自身の美術観察の経験を土台に、参加者からのエピソードを交えており、様々な視点から理解を深められます。


追加メモ:哲学対話として、共感のベースをどのように構築するかという点で、視点の変え方、視点(立場)による優先順位の変化などの事例が参考になります。(第6章、第7章)